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※ネタバレ注意!※ 『かがみの孤城』を読んでしっくりこないところ

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かがみの孤城 (一般書) [ 辻村 深月 ]

価格:1,944円
(2018/8/22 21:31時点)
感想(25件)

↓ あらすじ

どこにも行けず部屋に閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然、鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先の世界には、似た境遇の7人が集められていた。9時から17時まで。時間厳守のその城で、胸に秘めた願いを叶えるため、7人は隠された鍵を探す

 

あなたはもう読んだでしょうか?

 

2019年の本屋大賞に選ばれた作品です。

 

正直、あらすじだけを読んだだけだと、そこまで本を手に取ろうという気持ちをそそらないですね。

ただ、この本を本屋で見た時、積まれた本の横にPOPがあったんですね。

 

そのPOPには、読んだ人の感想などが少し書かれていました。

 

最後に「なるほどな」と腑に落ちたスッキリした気分になりました。

涙がポロポロこぼれて止まりません。

読み始めると、世界観に引き込まれて一気に読み切ってしまいました。

 

 

こんな感想がたくさんあります。

 

 

なんだろう?

ファンタジーで感動する物語なのか?

 

とここで少し興味をそそります。

 

これがいわゆる口コミ効果ですが、書籍って内容をそのまま全部ネタバレさせるわけにはいきませんし、広告って実際に読んだ人たちの感想に委ねられるところが大きいですよね。

 

しばらく考えましたが、本屋に行ったその日は「かがみの孤城」を買いませんでした。

でも、時々思い出して

気になって

 

やっぱり読んでみよう

 

そう思った時には、Aamazonで購入ボタンを押していました。

 

かがみの孤城」を読んだ感想と疑問※ネタバレ※

口コミ情報にもある通り、最後に感動させられる物語です。

 

少なくとも、現実世界と異世界をミックスした話という感じです。

 

 時間を飛び越える

 

そういった意味では、昨年ブームになった映画「君の名は」と共通する世界観があるように思える。

 

同じ中学校に通う7人

現実世界では、何かしらの問題を抱えていて

共通しているのは ”学校に行っていない” ということ。

 

ある日、光った鏡の中に吸い込まれるようにして入った彼ら7人は、鏡の中に創られた”お城の世界”で出会うところから物語が始まる。

 

 

でも、実はこの7人はそれぞれ違う時代を生きているということ。

こういう設定は、物語を読み進めているうちに、何となく気づく人もいるかもしれません。

 

そして、物語を読み終えた頃には

 

なるほどね

 

と納得できる伏線回収がうまくできているのです。

実に考え込まれた話だと思います。

 

 

ただ、どうしてもしっくりこない点が2つあるんですよね。

 

 

まず、7人の中学生のそれぞれを生きる時代と学年をおさらいする。

 

スバル 1985年 中学3年生

アキ 1992年 中学3年生 

 主人公(こころ)、リオン 2006年 中学1年生

マサムネ 2013年 中学2年生

フウカ 2020年 中学2年生

ウレシノ 2027年 中学1年生

 

7年飛びになっているんですね。

これは物語でも最後のほうに説明されている。

 

それぞれの時代で、それぞれは何かしら問題があって学校に行けていない。

その共通事項があるわけです。

 

話の中では、学校に行けていない(不登校)ということに対して、優しく助けてくれる大人が一人登場します。

喜多嶋先生です。

「心の教室」というフリースクールの先生だ。

 

 

主人公である こころ

マサムネ

フウカ

ウレシノ

 

それぞれが現実世界で喜多嶋先生と接触し、喜多嶋先生に救われている。

 

 

喜多嶋先生のフルネームは

喜多嶋晶子(きたじま あきこ)

 

彼女こそが、7人の中学生のうちの一人であるアキなんですね。

 

こころが生きる世界でアキは29歳

マサムネが生きる世界でアキは36歳

フウカが生きる世界でアキは43歳

ウレシノが生きる世界でアキは50歳

 

鏡の世界で会うアキは中学3年生(15歳)ですが、現実世界では、みんな違う年齢の喜多嶋先生(アキ)に出会っているんですね。

 

ここでちょっと疑問が。

15歳のアキと29歳のアキはどれだけ外見が変わっているのかな?ということ。

こころは、鏡の世界でアキを見て、現実世界で喜多嶋先生を見てもそれがアキだとは気づかなかった。

 

まさか、それぞれが違う時間を生きる7人が集まっているとは思っていなかったからかもしれないけれど「似ているなぁ」というようなことは思ったりしなかったんだろうか?

そこが気になりましたね。

 

 

それと、鏡の世界には ”おおかみ様” と呼ばれる狼面をつけた女の子が登場するが、実は鏡の世界を作ったのはおおかみ様。

しかも、この鏡の世界はおおかみ様が ”現実世界” で持っている大好きなドールハウスなんだということ。

 

これには読んでいてマジか!とビックリしましたが、さらに、なんとこの狼面のおおかみ様はリオンのお姉ちゃん。

7歳年上のお姉ちゃん。

 

中学1年生のとき、病気で死んだお姉ちゃん。

 

 

つまり、7人の生きる時代のうち

アキとこころ、リオンの間が14年空いている

他は7年ずつなのに。

 

そう、この間こそがおおかみ様だということ。

 

さらに、おおかみ様が現実世界で死ぬ年、喜多嶋先生(アキ)はおおかみ様に出会っている。

この時、アキは大学4年。22歳。

 

おおかみ様との出会いがきっかけで、アキは「心の教室」に身をささげるようになる。

そして、主人公(こころ)やマサムネ、フウカ、ウレシノとも出会うようになる。

運命の糸というものがつながっているのを感じることができました。

 

ただ、ここでも疑問が。

 

 

鏡の世界はおおかみ様ことリオンの姉が大好きだったドールハウスだということ。

おおかみ様は死ぬ前、最後の力をふりしぼって鏡の世界を作ったと。

 

マジでおおかみ様って何者!?

 

おおかみ様の力については、ほとんど詳しく書かれていません。

なんでこんなことができるのか?

最後まで曖昧なままでした

 

 

かがみの孤城

 

ストーリーとしては、すごく面白く考え込まれています。

何だろう?

何で?

と思わせながら、なかなか真実を教えない話運びも一気に読ませるテクニックですね。

 

読んだあとに爽快感が残る。

ちょっと心がスッキリする物語でした。